2020年03月21日

<保湿クリーム/ハンドクリーム> ユースキンA (医薬部外品)

新型コロナウイルスの影響拡大にともない、頻繁な手洗いとアルコール消毒によって手荒れがヤバイことになっている人が多いと思われるため、ここから数回に渡ってハンドクリーム(場合によって保湿クリーム)を取り上げていきます。


事前にこちら↓を読んでもらった方が、深まると思います。


▼ 本気で手荒れを治す、防ぐにはどうしたらよいの?〜皮膚科学の観点から〜
http://sentakubiyori06s.seesaa.net/article/473828073.html

▼肌荒れが起きる仕組みをわかりやすく
http://sentakubiyori06s.seesaa.net/article/474003214.html

▼化粧品より医薬部外品の方が良いのか?
http://sentakubiyori06s.seesaa.net/article/450526825.html






【指定医薬部外品】ユースキンA 70g
517円(2020年3月amazonでの価格)



有効成分:
ビタミンE酢酸エステル
グリチルレチン酸
dl-カンフル
グリセリン

添加物として(その他の成分):
ビタミンB2
ポリソルベート80
自己乳化型ステアリン酸グリセリン
ステアリン酸
ハードファット
トリエタノールアミン
エデト酸Na
ミリスチン酸イソプロピル
パラベン
ステアリルアルコール
ヒアルロン酸Na
ビタミンC







ざっくり結論:
分かりやすく医薬部外品のクリーム。基本。原点。
自転車操業型、その場しのぎタイプのスキンケアアイテムで、肌そのもの、土台を回復・改善させることはしない



ネットでは人気ありますよね。
手頃な値段で効きそう! というところがポイントかもしれません。


成分見ていきましょう。

医薬部外品なので有効成分とその他の成分に分かれています。


参考:
化粧品より医薬部外品の方が良いのか?
http://sentakubiyori06s.seesaa.net/article/450526825.html



有効成分:
ビタミンE酢酸エステル
グリチルレチン酸
dl-カンフル
グリセリン

ビタミンE酢酸エステル、グリチルレチン酸、dl-カンフルは血行改善、促進、消炎作用、抗アレルギー作用(グリチルリチン酸のみ)を持つ成分です。いずれも医薬品に使われることもあります。医薬部外品に使われている場合は濃度が落ちます。

珍しい成分ということは全くなく、医薬部外品にとっても化粧品にとっても非常にポピュラーでスタンダードな成分です。

炎症を抑えながら血行を促進することによって新陳代謝を促し、しもやけやあかぎれを改善しよう、という方向性かと思います。

手洗いやアルコールによってバリア機能が低下し、乾燥がすすんで炎症が起こしている肌への対策というよりは、しもやけ・あかぎれの方がしっくりくるイメージです。


その他の成分:
ビタミンB2
ポリソルベート80
自己乳化型ステアリン酸グリセリン
ステアリン酸
ハードファット
トリエタノールアミン
エデト酸Na
ミリスチン酸イソプロピル
パラベン
ステアリルアルコール
ヒアルロン酸Na
ビタミンC

ビタミンBは不足すると口角炎や口唇炎の一因になるといわれておりますが、これは経口摂取の話。

化粧品の成分としては、脂漏性皮膚炎……一般的には、皮脂や油脂過剰による皮膚の炎症へのケアとして使われます。ちょっとそぐわない感じしますが、なんで入っているんだろうか。

それ以外は界面活性剤と基材と、添加物です。

基材というのは美容訴求成分を混ぜるための土台になるもので、化粧水ならば水、クリームならばなんらかの油性原料、皮膚薬ならば白色ワセリンなどがそうです。

界面活性剤は水と油などさまざまな性質の成分を混ぜることができるので、乳化剤としても使われます。

添加物はph調節剤や、防腐剤などですね。


肌のうるおいを守る、与えるための成分はグリセリンとヒアルロン酸Naのみ。

どちらも古典的かつ特別な成分ではありません。

グリセリンは吸湿性によって水分を取り込む(蓄える)成分ですから、保湿剤のなかでははたらきが穏やかですし、ヒアルロン酸Naは防腐剤の後方表示のためほとんど入っていないと考えてよさそう。

手指や顔、からだの角質層の低下している水分量を復活させるはたらきはほとんどありません。


乾燥やしもやけ、あかぎれなどの炎症を、抗炎症によって水際で食い止め、自己の新陳代謝を活発にすることによってなんとかしのいでいこう、というタイプの考え方の製品です。

手洗い、アルコール消毒による手荒れという観点では、起きていく乾燥や炎症は決して軽いものではないのでギリギリのところで食い止められるかどうか、微妙なところ。20代はいけそうな気がしますが、以降は自身の肌の水分量がかなり落ちているのでけっこう難しいように思います。

このタイプの製品をうまく活用したいなら、とにかく使いつづけること、です。

肌の土台や素地を養っていくタイプの化粧品ではなく、ギリギリのところで異変を防いでいく水際作戦タイプの製品なので、使い続けなければその恩恵にあずかれません。使い続けていても炎症がひどくなるようなら、潔く医薬品にクラスアップした方がよいです。結局、医薬部外品が医薬品を勝ることはないのでね。


個人的には、肌そのものに水分の貯金を増やした方が余力が生まれ、少しくらいケアをサボっても肌荒れが起きなくなるし、きめが細かくなることによって見栄えもよくなるのでそちらのケアの方が合理的なように考えていますが、スキンケアの考え方は人それぞれです。

水際作戦を採用したい方は、このタイプの化粧品がよいでしょう。


もうひとつこのタイプのメリットをあげるとすれば、コストが安いこと!

肌そのものの水分量をUPし、バリア機能を回復させるような化粧品に含まれる成分はいずれもちょっと高価です。そのため、製品価格も割高になります。


現在、今後のために、あらためてかなりの数のハンドクリームの成分を見直していますが、今のところの感触だと、千円以下は「ない」と考えてもよさそうな感じです。

医薬部外品を含め、化粧品はさまざまな考え方によってつくられていますので、それぞれの特徴を押えたうえで上手に選び、活用するのが賢いと思います。


***

なんとなく★評価まとめをつけてみる
満点は5で

系統 抗炎症タイプ 保湿力はほとんどない
成分 ★★
性能 ★★※
コストパフォーマンス ★★※

※この製品は試用しておらず、性能とコストパパフォーマンスは成分を見た印象にすぎません



あくまでも私個人の考え方、意見です。
なにを信じ、なにを選ぶかは自由です。
ご使用の際はご自身の美容観や健康観に沿った判断でどうぞ。












posted by せんたくびより at 20:00| Comment(0) | 市販の基礎化粧品考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月12日

肌荒れが起きる仕組みをわかりやすく

手洗いとアルコール消毒によって手荒れがヤバイ!
そんな方も少なくないかと思います。

前回こんな記事を書きました。

▼ 本気で手荒れを治す、防ぐにはどうしたらよいの?〜皮膚科学の観点から〜
http://sentakubiyori06s.seesaa.net/article/473828073.html


今回は実際にハンドクリームを取り上げながらもう少し掘り下げてみたいと思っていたのです、が……

一般の方が持っている肌荒れが起きるまでの過程のイメージと、実際に起きていることがけっこう違うということを改めて考えさせられました。

化粧品が安易に悪者になったり、軽んじられるのはかわいそう…

なので、肌荒れが起きるプロセス、仕組みについてもう少し書いてからにしたいと思います。


■目次


 1.肌荒れが起きるしくみをイメージで理解しよう
 2.〇〇(商品名)を使ったら荒れた! それはあり得る?
 3.かゆくなったり、しみたりするのは化粧品が原因?
 4.まとめ




1.肌荒れが起きるしくみをイメージで理解しよう



本気で手荒れを治す、防ぐにはどうしたらよいの?〜皮膚科学の観点から〜』のなかで肌の構造と、肌荒れが起こる流れについてこのように書きました↓

肌には自らを守るバリア機能という仕組みがあり、本来はそれによってうるおいは守られています。肌の一番うえの部分、角質層の水分のうち、約80%ほどが角質細胞間脂質に、残り20%弱がNMF(天然保湿因子)によって守られており、皮脂によって守られているのはたった2,3%ほどです。これらの成分(要素)は水で流すだけ、何かに触れるだけで簡単に奪われます。また、加齢とともに角質層や真皮(肌の土台の部分)水分量やうるおいを守る物質の量も質も落ちてきてしまいます。そのため、若い人よりも年齢を重ねた人の方が肌荒れを起こしやすいのはご存じのとおりです。さらに、界面活性剤には油分と水分を混ぜる性質があるため、石けんやアルコールを頻繁に使うとこれらの成分が加速度的に奪われ、急速な肌荒れや回復しにくい肌荒れが起きます。



現場でカウンセリングをしていても、いろいろな場面で肌や化粧品についてご相談を受けていても、なかなかこのあたりがうまく伝えられないのですよね。

一般の方が持っていらっしゃるイメージと、実際に起きていることのあいだに、とても大きな差があるのを感じています。

そこで、今日はちょっと趣向を変えて数式チックなものを使って、イメージしやすく表現してみたいと思います。


【一般の方が持っている肌荒れのイメージ】

a+b=x

a:肌の状態。または、もともと持っている素質。一定で変わらないイメージ=0(ゼロ)
b:化粧品の刺激、または効果。効果はプラス、刺激はマイナスとする

* xの値がマイナスになったときに肌荒れが起きるとする




こんな感じではないでしょうか。
どうでしょう?

では、実際に起きていることを表すと、どうなるでしょう?


【実際の肌荒れのイメージ】

(a+b)-(c+d)=x

a:肌がもっているうるおい、一定に保とうとする働き。短期的には季節によって、中長期的には年齢によって変化する。一定ではなく常に変化している。しかも、変化は変化でも、振り子が揺れるようにしながら下降的に変化していると考えた方が適当

b:医薬品や化粧品などによる手当、保護

c:物理的刺激。手指の場合、物に触れたり、こすったり、洗ったりアルコール消毒したり。または化粧品の刺激、医薬品の副作用。後者の影響は少ない、もしくはまれ

d:栄養状態、睡眠、ストレス、病気などその他の要因

* xの値がマイナスになったときに肌荒れが起きるとし、abcdは正の数で固定とする



a+bの値がc+dの値を下回り、なおかつその状態がある程度持続したとき、はじめてカサカサになったり、赤くなってかゆくなったり、ということが起こる……というのが実際に起きていることのイメージに近いです。




2.〇〇(商品名)を使ったら荒れた! それはあり得る?



amazonなんかで化粧品の評価を見ていると、


〇〇(商品名)を使ったら荒れた!


という表現をよく見かけるし、実際にお客様からご相談を受けることも少なくないのですが、先にご紹介したように因果関係というのはそれほど単純なものではありません。そもそも、薬事法上の化粧品の定義は「人体に対する作用が穏やかなもの」ですし、実際に刺激が強い成分はそんなに存在しません。過去に事故があり、因果関係が明らかになった成分は使用禁止になったり、配合上限が定められています。

思い出してみて欲しいのです。

ここ最近で化粧品(成分)による大きな事故は、加水分解小麦(その中でも一部の成分)とロトデノールでしか起きていません。小さめのトラブルとしては非常に高濃度のビタミンAもありましたが、そのくらい。世の中に星の数ほどの化粧品があり、辞書やデータベースを作れるほどの数の成分が存在しているのに、です。


顔用であれ、手指用であれ、体用であれ


この化粧品を使ったら荒れた


という場合に、実際に起きていることとしては、

もともと肌が弱っているところに、手当による補強が間に合わず、全体的な値がマイナスになった。

というのが、より正確な事実に近いのではないかと思います。



もちろん、特定の成分にかぶれる(アレルギーがある)人がいないわけではありませんが、10年超エステティシャンとして数多くの化粧品を扱いながら施術をしたり、スキンケア化粧品をご紹介したり、という仕事をしてきた体感としては、実際のところそんなに頻度は高くないように思います。

ちょっと分不相応なのでオマケ程度で書きますが、肌荒れとそれ以外を見分けるポイントは、

・急激な変化が直後24時間〜48時間以内くらいに起きているか
・湿疹、腫れなどが主な症状か

このあたりでしょうか。

こういう場合は皮膚科に行くべきですね。

医療は、特に臨床の現場では「異常を取り除く」ことを主な目的としているので、原因を特定してもらえることは稀ですが、起きている異常はやっぱり専門家の判断によって適切な医薬品で抑えるのがベストです。どうしても原因を追究したい場合は、そういった種のことを得意として売りにしている皮膚科医に相談すると良いと思います。



3.かゆくなったり、しみたりするのは化粧品が原因?



洗顔後にかゆくなる、化粧品がしみるのは肌そのものの状態が悪いことが原因の方が多いです。

もちろん、その状態を放置すれば炎症が広がっていきますし、場合によっては常在菌が悪さをしたりして湿疹が出たりもします。そのときもやはり皮膚科へ行き、薬で症状を抑えた方がよいです。この段階で化粧品を一生懸命塗っても遅く、化粧品で治そうとしてはいけません。

ちょっとしみたりするくらいや、強いかゆみでなければ化粧品による保存的ケアで回復することもありますが、その場合、科学に基づいた考え方で作られている製品を選ぶ必要があります。自己判断で刺激の少なそうな化粧水だけ塗ったり、なんとなく皮膚や体によさそうなイメージの化粧品を使ってもよくはならず、悪化することもあります。


敏感肌、乾燥肌の本質は「生まれつき、もともと敏感、乾燥している」ではなく、加齢等により肌の力が弱くなってしまった結果(乾燥肌)
さまざまな刺激に耐えられなくなっている(敏感肌)という状態です。


一部、ハイドロキノンなど美容成分のくせに成分そのものが肌を炎症させる副作用を持っているものもないことはないですが、一般的に流通している化粧品にそういうリスクの高い成分はあまり入っていないし、入っていたとしても低濃度のため、そんな困ったことはあまり起きないです。ハイドロキノンの化粧品における配合上限は3%ですが、実際には1%以下の含有量のものが多く、それ以前に有色メラニンを還元するという強力な美白剤であるハイドロキノン自体、大きなメーカーは採用していません

美白剤や抗老化剤には一部そういう成分がありますが、保湿成分にはリスクの高い成分は存在しないですし、防腐剤や製品安定剤などは非常に濃度が低いため、それらの成分がピンポイントで肌への刺激となることも考え難いです。



4.まとめ



化粧品は一般的には良くも悪くも、作用が穏やかなものです。

健康な肌のポテンシャルを破壊するほどの刺激を与える可能性のある化粧品はそんなにないですし、逆に湿疹や腫れを治せるような化粧品もないです。

肌荒れと化粧品の因果関係はそれほど単純ではなく、肌が衰え弱くなっているところにケアが追い付かず、ダメージが上回ることで最終的に目に見える異変が起きる、というのがもっとも現実的に起こり得ること。

それは、日照り続きで土が乾いていき、最終的に作物がしなびるようなイメージが似ているかも。

そうなったら医薬品にバトンタッチです。

化粧品にできるのは、健康な肌が健康な状態を維持する予防的ケアまで。または、医薬品で回復したのち、再発を予防することです。

そう思ってもらった方が、娯楽品でもある化粧品選びを素直に楽しめるのではないでしょうか。


***

次回こそ、実際のハンドクリームを取り上げてそのつくりがどういうものか紹介していきたいと思っています。

今のところ、ネットで大人気のユースキンA(医薬部外品)、ナチュラル系の代名詞パックス、などを紹介したいと思っていますが、もし取り上げて欲しい製品があればコメントとかでリクエストどうぞ。

実店舗弊店オンラインショップ(会員制)のお客様はメールなどでもリクエストください。

今週末3月15日まで承ります。

地味なコロナフェスティバルを開催したいと思います。(やけくそ)


コロナよ……

はよ落ち着いてくれ……










posted by せんたくびより at 20:00| Comment(0) | 美容の豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月01日

本気で手荒れを治す、防ぐにはどうしたらよいの?〜皮膚科学の観点から〜

nailGFVL9616_TP_V.jpg


感染症対策で手洗いやアルコール消毒が励行されています。
そろそろ手荒れが見過ごせないレベルになってきている方も少なくないではないでしょうか。

今回は皮膚科学の視点から、本気で手荒れを治したいとき、治ったあと防ぐためには何を使い、どうしたら良いのかをご紹介します。


■目次


 1.手荒れを治すのは医薬品で
 2.本気で手荒れを予防したいなら、まずは肌の構造を知る
 3.実践ハンドケア 〜守る〜
 4.実践ハンドケア 〜与える〜
 4.まとめ




1.手荒れを治すのは医薬品で



湿疹や出血を伴うひび割れなどがあるときは、化粧品(ハンドクリーム)で治そうとせず、速やかに医薬品を使いましょう。
医薬品・医薬部外品(薬用化粧品)・化粧品にはそれぞれ定義があり、役割が違います。


医薬品
 明確な効果とともに副作用の恐れもあるもの

化粧品
 清潔や美化のため、皮膚や毛髪を健やかに保つことが目的とされ、人体に対する作用が緩やかなもの

医薬部外品
 医薬品と化粧品の中間に位置するもの。ある特定の成分を規定の濃度含めると、対応する特定の効果を謳うことができるもの。医薬部外品のなかで、特に化粧品のような使い方をするものを「薬用化粧品」と呼ぶこともある


化粧品は作用が緩やかなものなので、強い痛みや異変が起きているときは遠回りすぎるし、医薬部外品も同様です。

湿疹、出血を伴うひび割れや強いかゆみ、痛みなどがあるときは皮膚科医に相談して薬を処方してもらうか、ドラッグストア等で薬剤師に相談することが大切です。

ステロイド等の強い抗炎症作用を持つ医薬品を使うことに抵抗がある人もいるかもしれませんが、医師は症状や部位によって適切な強さの薬を当然選んでくれています。


素人判断したり、根拠のない都市伝説に振り回されることなく、専門家である医師を信頼すると良いと思います。




2.本気で手荒れを予防したいなら、まずは肌の構造を知る



肌には自らを守るバリア機能という仕組みがあり、本来はそれによってうるおいは守られています。

肌の一番うえの部分、角質層の水分のうち、約80%ほどが角質細胞間脂質に、残り20%弱がNMF(天然保湿因子)によって守られており、皮脂によって守られているのはたった2,3%ほどです。

これらの成分(要素)は水で流すだけ、何かに触れるだけで簡単に奪われます。また、加齢とともに角質層や真皮(肌の土台の部分)水分量やうるおいを守る物質の量も質も落ちてきてしまいます。そのため、若い人よりも年齢を重ねた人の方が肌荒れを起こしやすいのはご存じのとおりです。

さらに、界面活性剤には油分と水分を混ぜる性質があるため、石けんやアルコールを頻繁に使うとこれらの成分が加速度的に奪われ、急速な肌荒れや回復しにくい肌荒れが起きます。



3.実践ハンドケア 〜守る〜



肌の水分を守る成分は水で流したり、何かに触れるだけで失われるので、単純にはそれらとの接触回数を減らすのが有効です。

ただ、現状として手洗いやアルコールとの接触を減らすことは別の観点で無理ですから、ふだんは余計な刺激を少しでも減らすために綿か絹の手袋をします。化学繊維を含むものは、手荒れがひどい場合それすらも刺激になるので綿か絹がおすすめです。

炊事や洗濯、掃除など水を使う作業のときにゴム製やビニル製の手袋をつけるのは、多くの方が実践されているかと思いますが、もちろん有効です。手指は使う頻度が高い分、ちょっとやそっと守ってあげてもなかなか回復しません。確実に毎回実行する「小まめに守る」ことも大切です。

「守るケア」として意外と知られていないのは、撥水剤をたくさん含むハンドクリームを使うこと。

撥水剤は植物油や動物油、ミネラルオイルなどの油分とは異なり、界面活性剤にも耐性があるため、せっけんで手を洗っても流れ落ちにくく、手指のうるおいを守る成分をラップのように包んで守ります。

化粧品に含まれる代表的な撥水剤とはシリコーン油のことで、成分名はジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジメチコンなどです。




4.実践ハンドケア 〜与える〜



医薬品で炎症を抑えたら、今度はバリア機能を回復させることが再発を防ぐことに直結してきます。

医薬部外品のハンドクリームに含まれていることが多い、抗炎症作用や消炎作用、抗アレルギー作用を持つ成分は、要は医薬品の代替成分であったり、同じ成分の低濃度のものです。これらを使ってもバリア機能を回復させたり、補助することにはなりません。

先にご紹介しましたが、肌の水分を守っているのは8割が角質細胞間脂質、2割弱がNMF(天然保湿因子)です。

これらの成分を与えることで、肌のバリア機能回復をサポートすることができます。

肌の水分量を守るのに中心的な役割を果たしている角質細胞間脂質とその類似成分には、ヒトセラミド、動物性セラミド、植物性セラミド、合成セラミドなどがあります。これらを含むハンドクリームを使用するか、ハンドクリームを塗る前にそれらの成分を含む美容液などを下塗りします。

セラミドはヒト・動物・植物≧合成の順で保水力が高いですが、原料の高さもほぼ比例します。

つまり、ヒト型セラミドを含むものは製品価格が高くなりやすく、現実問題としてそういう事情から低濃度になりやすいです。化粧品の成分は濃度も重要で、どんなに良い成分でも薄ければ効果が発揮されにくいです。贅沢をいえば、なるべく高濃度に含まれるものを使えれば理想です。

角質細胞間脂質(と類似成分)を使うのが予算の都合上難しいようであれば、カチオン化されたヒアルロン酸を取り入れるのもおすすめ。
セラミドよりは原価が安い成分で、水に流されにくい性質をもっているため、皮膚に吸着されやすく、長く肌にとどまって水分量を維持します。



5.まとめ



今起きている肌荒れ(湿疹、出血、強いかゆみや痛み)は皮膚科医や薬剤師に相談のうえ、医薬品で治します。

治したあとは肌がもともと持っているバリア機能を回復させ、機能させることが予防につながります。

そのためには、角質細胞間脂質や水に強いカチオン化されたヒアルロン酸などを取り入れ、角質層の水分量を維持し、撥水剤や手袋などを使って手指を徹底的に水や物理的刺激から守ること。

手指は頻繁に使う分、顔やその他の部位よりも回復がゆっくりです。

諦めず、サボらずに、これらのケアを辛抱強くつづけることこそが肌荒れからの回復、再発を防ぐ近道です。


以上、皮膚科学の観点で手荒れを治す、防ぐにはどうしたらよいの? をお送りしました。




<本日の所要時間2時間>

次回、今回の内容を踏まえ、市販されているハンドクリームを取り上げながらもう少し深めてみたいと思います。

数えていないので不確かですが、恐らく10年の間に数百点はハンドクリームの成分見ていると思うのですが、今回挙げた条件を満たすハンドクリームは数点しか心当たりがありません。

顔用の化粧品より娯楽色が強いのがハンドクリームというカテゴリーの特徴です。

化粧品は本質的にはそれでもいいのですが、本気で肌荒れを予防する製品を探している人には難しい問題ですよね。



***


──ちょっと越権行為になりますので、戯言として聞いてください。

ステロイドを使い続けると肌がボロボロになるという話を聞いたことがあるでしょうか?

成分マニアのエステティシャンから見ると、この話にはやや誤解もあるように思います。


ステロイドは炎症を抑えるけれど、肌のバリア機能を回復させることはしません。

肌が健やかな状態を維持するには、炎症などの異常が治まったあと、バリア機能を回復させ、正常に稼働してもらわなければなりません。

炎症を抑えるだけでは、それを起こす素地は変わっていないので、繰り返すのはある意味当然のことではないかと思います。

専門家である医師を信頼し、疑問点は感情的にならず、冷静に確認することが大切だと思います。


ラベル:スキンケア
posted by せんたくびより at 19:30| Comment(0) | 美容の豆知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする